はしかについて

「はしか」は医学的には麻しんと呼ばれ麻疹と記載されることもあります。
麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症として知られています。
麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。
免疫を持っていない人が感染すると高い確率で発症し、一度感染して発症すると免疫が持続すると言われています。

症状

潜伏期間(感染してから発病するまでの期間)は、10~12日程度です。
感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水、目やにといった風邪のような症状が現れます。目の充血や口の粘膜の発赤などが目立ちます。 口の中の粘膜に白いブツブツ(コプリック斑)が見られることもあります。
2~3日熱が続いた後、一旦熱が軽くなりますが、すぐまた39℃以上の高熱となります。その頃から発疹が出現します。発疹は耳の後ろから始まり次第に全身に広がります。発疹が出始めて3~4日経つと熱は下がり、発疹は次第に黒ずんだ色に変わってきます。
感染力があるのは発熱1日前から、解熱後1日まで(発疹出現の前後4日間)と言われてますので、発症した場合は外出を避け、感染を防ぐようにしましょう。

ワクチンについて

麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。麻しんワクチンの接種が有効な予防法といえます。
麻しん含有ワクチン(主に接種されているのは、麻しん風しん混合ワクチン「MRワクチン」)を接種することによって、ほとんどの人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。
また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。平成18年度から1歳児と小学校入学前1年間の幼児の2回接種制度が始まりましたので、定期接種の対象年齢に受ける事をご検討ください。

麻しんの予防接種を受けるのに、単独の麻しんワクチンの代わりに、MRワクチンを接種しても健康への影響に問題ありません。
ただし、MRワクチンは、生ワクチンという種類のワクチンですので、妊娠している女性は接種を受けることができません。また、妊娠されていない場合であっても、接種後2カ月程度の避妊が必要です。これは、おなかの中の赤ちゃんへの影響を出来るだけ避けるためです。
また、麻しんの単独ワクチン、風しんの単独ワクチンの接種に当たっても、妊娠している方は接種を受けることはできません。接種後2カ月程度、妊娠を避けるなど同様の注意が必要です。

定期接種以外で、ワクチン接種を受けた方が良い人は?

定期接種の時期にない方で、「麻しんにかかったことがなく、ワクチンを1回も受けたことのない方」は、免疫を持っていないと考えてよいでしょう。
また平成18年4月2日以前に生まれた方で、平成20年度からの特例措置の対象でなかった方は、1回のワクチン接種のみの場合が多いと思いますので、免疫が低下している場合があります。
上記の方が、麻しんの流行している地域(特に海外)へ行かれる時には、あらかじめ麻しんの抗体検査や予防接種をご検討ください。旅行の2週間前までには、予防接種を済ませておいた方が良いので、時間がない場合は、すぐに予防接種を受けましょう。
その他に、麻しんに感染した方と接触した場合にも、ワクチン接種をご検討ください。接触後72時間以内であれば、緊急でワクチンを接種することで感染防御もしくは症状緩和が期待できるとされます。
ちなみに、今まで麻しんにかかったことが分かっている(検査で麻しんの感染が確認された場合)場合は、免疫を持っていると考えられることから、予防接種を受ける必要はありません。

麻しんについては、予防接種の回数によって免疫が充分でない方がいますので、まずは母子手帳の確認をしましょう。
海外などの麻しん流行国に行く際は、麻しんにかかったことのない方で1回しか予防接種を受けてない方は、予防接種をご検討ください。また2回の予防接種を受けている方でも、免疫が低下している場合がありますので、抗体検査をすることをご検討ください。
予防接種を受けていれば麻しんへの感染を予防できる可能性が高いので、定期接種の対象年齢の際に予防接種を受けて、免疫をつけておきましょう。