2021 新年のご挨拶

あけましておめでとうございます。
昨年は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックという、人類がこれまで経験したことのない世界規模の脅威に晒された1年でした。これは、世界中で人や物の行き来が盛んになった現代のグローバル社会ゆえの現象とも言えます。欧米では大規模なロックダウンを強行したにも関わらず、多数の死者を出して医療崩壊が起き、社会基盤が脆弱な南米、アフリカ諸国などでは多くの患者が適切な医療を受けられないまま亡くなっています。そしていまだに多くの国で感染の広がりが落ち着く気配がありません。日本は欧米に比べれば、重傷者が少なく、死亡率も低いと言われておりますが、感染の拡大が収束に向かわないという点では変わりありません。このような未曾有の厄災下にあって、私たちは行動を制限され、緊張を強いられながらも、忍耐強く、理性を失わず、希望を持って生きて行かねばなりません。そして、人類の英知を結集してこの危機を乗り越えていかなければなりません。我々一般市民ができることは限られていますが、行動の自粛、移動の自粛、マスク、手洗いなど、最も基本的ではありますが、感染症に対しては最も有効な手段を各人が自覚を持って遂行すべきです。
一方で、欧米ではワクチンも完成し、その接種が広がりつつあります。このワクチンがどの程度の効果があり、日本でいつ頃打てるようになるかが一つのポイントになります。ただ、インフルエンザのワクチンと同様で、これが感染予防の決定打にはならない可能性があります。ワクチンを接種した人が必ずしも罹らないとは限りませんし、効果がいつまで持続するかもわかりません。ウイルスの変異という問題もあります。我々は、ワクチン接種の普及に希望を持ちながらも、それぞれが状況と立場を自覚し、自制心を持ち続けなければ、この感染症に打ち勝つことはできません。
当クリニックも昨年11月末から新型コロナウイルス感染症を想定した発熱外来を始めました。熱のある患者さん、風邪症状の患者さんは、あらかじめ電話予約の上、決められた時間帯に受診していただき、通常の診察室とは別の部屋で診察をし、必要があれば新型コロナウイルスの抗原定性検査を行っています。入院患者を担当する都市部の病院に大きな負担がかかる中、大変微力ではありますが、当院も地域の一医療機関として、その役割を全うしていきたいと考えています。そして早くこの感染症が終息し、希望に満ちた明るい未来が訪れることを祈っています。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

院長  吉 村  彰